本の話
●頂いた本、最近読んだ本の一部を紹介します。現在の私の研究と深く関わりのある本は、営業秘密(?)の観点から省略しております。
●ご著書お送りいただいたみなさま、ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。
●赤い字で記しているのが頂いた本です。
●最近のものが上で、降順になっています。
2025年
・丹下和彦『ギリシア古喜劇を読む』(未知谷、2025年)
・一盛和世(編著)『蚊学入門』(緑書房、2021年)
蚊には毎年悩まされているが、その蚊のさまざまなことが分かって面白かった。例えば、蚊に刺されやすい血液型とか、年齢によって蚊に刺されたあとの反応に違いがあるとか、蚊の好きな色とか。
・西村賀子・吉武純夫訳、L.D.レノルズ・N.G.ウィルソン『古典の継承者たち』(ちくま学芸文庫、2025年)
1996年国文社より刊行されたもの。原著の第四版に基づいて訳が改訂された。
・荒俣宏『万博とストリップ』(集英社新書、2000年)
本棚にある本を次々と取り出して読んでいる。折しも大阪で万博が開かれているので読んでみた。
フランスやアメリカでの博覧会で客寄せのために「ベリーダンス」や「カンカン」が取り入れられたこととか、日本では1914年の大正博覧会で「覗き部屋」が作られたり、1922年の平和記念東京博覧会でベリーダンスがあり、「エジプト筋肉顫動ダンス」と呼ばれていたとか、そのときの模様を宮本百合子が『伸子』で描いていたとか、少なくとも私にとって興味深いことが次々出てきた。
・谷川浩隆『ウォーキングを始めたら、なぜ痛みが消えたのか』(講談社現代新書、2019年)
心療整形外科医を唱える筆者による本。目からうろこの記述が一杯。大事なのは「決めつけない、焦らない、諦めない」。
・井上正康『コロナワクチン解毒17の方法』(方丈社、2023年)
この本をもっと前に読んでいたら、7回もワクチンを接種せず、後遺症に悩まされることもなかったであろうに。
ワクチン派と反ワクチン派の冷静な議論が本当にほしい。また、あれだけワクチン接種を推進していた政府、厚労省、医者たちが自らの啓発活動を点検すべきではないか。
・小林太一郎「ポセイドーンとスサノオノミコト」(『西洋古典学研究 VII』岩波書店、1959年)
ドュメジル流の比較神話学の論文である。ウィキペディアによれば、京大文学部哲学科を卒業してフランスに三年間いたということであるから、小林はデュメジルの薫陶を受けたのだろうか。
小林の奇人ぶりは井上章一が引用している橋本峰雄の「小林芸術理論と精神分析学」に少し出ているらしいが、誰か小林太一郎の伝記を書かないものか。
・井上章一編『性欲の文化史2』(講談社、2008年)
この中で一番面白かったのは井上章一「桂離宮にエロスを読む」であった。桂離宮と京都島原の角屋がエロスという点で通底しているところが面白いのだが、さらに議論の発端に美学者の小林太市郎が引かれていて、あらためて奇人小林太一郎の論文を読んでみようかという気になった。
・チームK『私たちは売りたくない!』(方丈社、2024年)
コロナワクチンの一番新しい自己増幅型レプリコンワクチンを製造しているMeiji Seikaファルマ社の社員チームKが職を賭して書いた本である。
コロナワクチンのさまざまな問題が検討されているが、「スパイクタンパクそのものが長期の皮膚障害に関与する可能性」という高知大学の佐野栄紀教授らによる論文が
紹介されているところが私にはありがたかった。スパイクタンパクが皮膚に与える障害に関することは他に見られなかったからである。
・高橋宏幸訳『ウェルギリウス小品集』(講談社学術文庫、2025年)
・木元康晴編『登山のダメージ&体のトラブル解決法』(山と渓谷社、2022年)
山登りをしていて体のトラブルを抱えている人にはお勧めの本である。ヤマケイオンラインの連載記事を大幅に加筆・修正したもの。
口コミで広がっている言説の真偽が分かる一面もある。
・鷲田清一『京都の平熱』(講談社学術文庫、2013年)
ギリシア・ローマ関係あるいは哲学の洋書店であった至成堂が今どうなっているかとネットで検索していたら、本書が出ていたので、読みたくなり買い求めた。
鷲田流京都観が開陳されているので、それはそれでおもしろいのだが、著者の自伝的な部分の叙述に私は一番興味を惹かれた。
・山田稔『マビヨン通りの店』(編集工房ノア、2010年)
再読である。「ついに時めくことのなかった作家たち、敬愛する師と先輩によせるさまざまな思い」のエッセイ。
すべてが懐かしい。
・大村大次郎『なぜ有名人が次々と死んでいるのか?コロナ・ワクチン安全神話の崩壊』(ビジネス社、2024年)
新型コロナワクチンを信じて、忠実に7回(最後は2023年10月17日)も接種したが、2024年7月末にコロナにかかってしまった。もちろん変異は続いているからワクチンをうったからといって
発症することはありうるし、ワクチンをうったから少しの発熱だけで治ったということもありうる。
しかし、私にとってはコロナワクチンの結果としか思えないような症状が出ているのである。消毒の強い場所に出かけたり、化学物質で充満しているところに出かけると、皮膚に発赤が出たり、湿疹が出たり
するし、また、服薬や注射によって、薬疹が出てくるのである。特に薬疹は、これまで出たことがなかったのにコロナワクチン6回目接種以降、かゆくて仕方がなく、安眠もできない状態になってしまった。皮膚科
クリニックにはその都度出かけ、抗ヒスタミン剤と軟膏でとりあえず症状を抑えることが出来るが、昨年末に腰椎すべり症が再発して、今年初めに薬とシップ薬で治療を始めると、また、薬疹が出てきて、整形外科に
行っては皮膚科に行くという、痛みと痒みの二重奏で苦しみの毎日を送っている。
本書を読んでみようかと思ったのは、以上のような個人的な体の症状があったからである。お断りしておかなければならなりが、私は陰謀論者ではない。本書に出ている統計の処理に関しても、疑問なしとはしないのだが、
筆者も言っているように「コロナ・ワクチン接種者の全件健康調査は今後定期的にすべき」だと私も考える。コロナ・ワクチン接種キャンペーンの旗を振った政府、研究者、医師にはぜひとも考えてもらいたい。
・樋口大良+子どもヤマビル研究会『ヒルは木から落ちてこない。ぼくらのヤマビル研究記』(増補版、ヤマケイ文庫、2024年)
鈴鹿の麓に住む子どもたちと先生が、仮説を立て実験を行って数々の発見に到った作業の記録。面白かった。
「ヒルは木から落ちてこない」は確かにそのようである。御在所岳には少なく藤原岳に多いのは前者が花崗岩、後者が石灰岩の山だからというのは、まだ確かな証明には到っていないとのこと。
ヒルを山で広めたのは鹿のせいであるというのもよく言われるが、広めるのに一番貢献したのは雨による水の流れというのも説得的であった。鹿ももちろん関与しているが、その他に蛙、猪もヒルの広がりに関わっている。